2019/04/27

Seattle近郊の周遊

レンタカーとフェリーを使っての国境を越え:四日間の周遊旅
2019//4/21-24の4日間、Seattle—>Anacortes(1泊)—>Victoria(2泊)—>Seattleのルートで小旅行をしてきた。目的は3つで、1)2002年に数回通ったダーリントンの再訪問、2)国境越えの経験、3)そしてビクトリア(加)の旅だ。


【1日目】
 4/21(土) 前日、空港近くの宿に一泊。7:00起床。9:00 タコマ空港のレンタカーセンターでレンタカー(カーナビなし)を受け取り出発する。車はネットでEuropcarに予約してあった。ヒュンダイのSonataで、4日間で2.6万円だ。
 まず、州間高速道路I-5を北上してArlingtonを目指す。Seattle市内を過ぎると交通量が減り、リラックスできる。ここを通って北上するのは2002年以来だ。眼前の風景が徐々に懐かしさを増してくる。過去に向かってタイムトラベルしている感じだ。当時の記憶が蘇ってくる。I-5北上は当時数回経験あるので、この先の道路風景は予想できるので、リラックスして運転ができる。1時間走ってArlingtonの道路標識が見えてきたので、I-5を降りる。Arlingtonで昼食と思っていたが、天気がいいのでここをスルーして、530号線に進み、山間の小さな町Darringtonを目指す。町の裏手に、スティールヘッド釣りで有名はSkagit川の支流Sauk川が流れているのだ。
 530号線も当時何度か通っているのだが、今回ドライブしてみると「この田舎道は記憶よりもかなり曲がりくねった道だ」という印象だ。地形的には、広い谷間をNorth-Fork-Stillaguamish川上流に向けて川沿いを進む。
 途中で、2014/3に発生した小さな集落Osoの大規模地滑り跡(米国史上最大級)の記念碑で小休止。当時田舎道をドライブしていたら「緑の中に、手入れの行き届いた美しい数十軒の小集落を見つけ、どうしてこんなところに、こんなに可愛くて美しい集落があるの?」という印象があり、ズッーと気になっていた。その後、ニュースでこの災害を知った。ここに、もう当時の面影はない。ただの荒れた原っぱが広がっている。自然に還った印象だ。ただ、眼前の緑の山肌には、むき出しの地滑り跡が見て取れる。碑には「犠牲者43名」とあった。





    Darringtonへ向けて出発し、昼前に到着した。今日は4/21(日)のEasterだ。お店の大半は閉まっている。シェルのGSが開いていたので、ここで小休する。このGSは、シアトルでフライフィッシングを始めて、D.Dickson(https://www.flyfishsteelhead.com)の実践クラスに参加したときの集合場所だった。ここから少し下流のSauk川の岸からポンツーン・ボートを運び入れて、川下りしながらFFを実践した。道路から川岸まで3m以上段差があったと思うが、大型ゴムボートを積んた大型ピックアップトラックがそのまま岸辺まで降りて荷物を下ろした。登るときは少し苦労していたが、フロントに搭載されたワイヤー巻取り機で解決だ。この大胆さには驚いた。
 当時、日本に小型ゴムボートを持っていて、ボート釣りの経験はあったが、ポンツーン・ボートを使うのは初めてだ。ライフジャケットを装着して一人乗りポンツーンで下った。椅子に座る格好になるのでが、視線が水面より高くて、恐怖心は少ない。Sauk川の荒瀬では度々水しぶきを浴びた。3時間ほどの川下りだ。途中、ボートを止めて川原で他の参加者6名と川を見ながらランチを楽しんだ。ランチはDicksonたちが用意していて、同伴した息子のMikeが忙しく準備している。景色は、岩肌の白い山々が迫り、その下に背の高いアメリカ杉が囲む。川原には大きな流木が転がり、川は幅50mのささ濁りの冷たい流れだ。そんな大自然の中で簡単なバーベキューセットで、ウインナーやパンを焼き、温かい飲み物が提供される贅沢。釣り雑誌で見た憧れのアメリカの釣りのシーンだ。


 食事の間、参加者間でジョークを言っているようだがボクには聞き取れなかった。が、ボクの川下りのコース取りが無謀だったようで「お前のポンツーンにはハラハラした」とか、話のネタにされてしまったのはわかった。本人はちょっとスリイングを味わった程度の認識だで、気持ちは「アメリカのスティールヘッド釣り」を実感することに向かっていて、「今、そのど真ん中にいるのだ」と思った。
 Dicksonはスティールヘッドのアタリはこんな具合だと言って、ボクにフライロッドとリールを握らせて、ラインを引っ張ってその感触を教えてくれる。静かに重く沈み込むアタリが、数回わずかな「チョン、チョン」がある感触だ。FFは初心者だが、ルアー釣りは20年以上経験していたので、「アッ、そうか」と実感した。体感するとわかりやすい。

 高く深い緑の森林、更にその上に雪を頂いた岩肌の山々、大きな流木、冷たく少し濁った大きな流れ、釣り人たちのジョーク交じりの英語、まさに「北米の鱒釣り」だ。そのときの光景や匂い、川の冷たさ、ジョーク交じりの会話は、ボクの釣りを数段レベルアップさせた。その時の光景や冷たさ、匂いはいまでも時々蘇ってくる。
 そう言えば、Dicksonの話の中に頻繁に「ガマカツ」とか「TEMCO」といった言葉があった。Saukのスティールヘッド釣りでは「ガマカツのオクトパス・フック#xxxのyyyy、フライはxxのカラーyyがベスト」などと言ってた。「バーブのヒネリ」が秀逸と。日本製の釣りバリや釣り道具の小物に人気があることを、そのとき始めて知った。ラベルは英語表記なので、それらが日本製かどうか、わからないようだ。

 更にもう1つ。Mikeがシングルハンドロッドで遠くへキャストできる「Yancy's キャスト」を見せてくれた(てっきり「ヤンキー・キャスト」と思っていたが、暫くしてから、人の名前のYancyとわかった)。ラインシステムは短いシューティングヘッドとランニングラインの組み合わせだった。そのときキャストさせてくれたが、ラインの重心が短い区間に集中しているので、ルアーキャストに慣れたFF初心者には投げやすかったが、FFの知識も技術も不足していて、当時はその価値がまったく分からず聞き流していた。20年以上経って、FFの知識も増えてきてから、アンダーキャストやDループ、そしてスカジットキャストなど、そのスタイルや価値が分かってきて、「Yancy'sキャスト」が気になりだした。

 数時間の川下り釣り体験だったが、本当に楽しい体験だった。もっとゆっくり川下りしながら、釣りガイドから様々な経験談や釣りのKnow-Howなどを聞きたいと思ったが、その時のボクの英語力とFFの知識では「馬の耳に念仏」だったろう。
 さて、今回の旅の目的の1つは「Mt. White Horseを再度観ることと、当時訪れたSaukやSkagit川の入渓ポイントへ再訪すること」だ。まずは、最初の一歩だ。GSのショップで、セルフ・コーヒーを注いでから、レジカウンター横の保温ケースの中に美味そうに見えたJoJoについて、店員の女の子に「JoJoってイモのフライ?」って聞いてみた。答えは「No」のようで、何か説明してくれるが聞き取れない。外見はイモのフライだが。。。店内の窓際のテーブルに移動してCoffeeとJoJoを食す。丁度、正午なので周辺の町の人が昼食を買いにひっきりなしにやって来る。Jojoを食べてみるとやっぱり「イモのフライ」だ。だが、普通のフライドポテトと違って、小麦粉を塗していて、スパイシー味で、油っぽくなく、食べ応えもあった。中々うまい。

 店の前に駐めた車に戻る。空は晴れていて青い。隣の車の人たちは、外でお喋りしている。青空と冷たくておいしい空気、そして Mt. WhiteHorseの神々しい姿が視線の向こうに浮かび上がっていて、期待通りの景観が今ここにある。岩肌のゴツゴツ感が何とも格好いい。いつか登ってみたい秀峰だ。車の外で日向ぼっこしながら、小さな町ののんびりした雰囲気と神々しい岩肌の山々の姿を堪能する。旅行者にとっては、そのアンバランス感が魅力的だ。快感だ。
 このショップの裏を流れるSauk川は、2002年の春にDicksonのフライフィッシング講習会に参加し、Pontoonボートで川下りしながら「Fly Fishing」を覚えた川だ。当時、4−5回ほど通っただろうか。町に1軒ある宿にも泊まったし、その近くのBarへも行った記憶がある。

2019/4の風景

"A true jojo is a potato wedge that's been breaded, pressure fried and spiced," says Paul Nicewonger. 

2002/3の風景


 次の目的地、SaukとSkagit川の合流点Rockport 、そしてそこから少し上流にあるMarblemountへ向かった。当時の釣り記憶を思い出しながら、SaukとSkagit川に沿ってしばらくドライブする。Marblemount近くに、小さくてかわいいレストラン(喫茶)があって、そこで数回クラムチャウダーを食べた記憶がある。古くなった雑誌Steelhead River Journalが数冊置いてあり、Skagit川がSteelhead釣りで有名な川であることを初めて知った。雑誌にはSkagit川の美しい流れと釣り風景が紹介されていて、パラパラめくるだけでもワクワク感が高まる。著者は「A Passion for STEALHEAD」のあのDec Hoganだ。しかし、当時は「今、その有名河川に釣りに来ている」ことの価値が実感できなかった。

2002/3のSauk川の流れ






 州道530をSak川沿いに30分ほど進むとRockportでNorth Cascades Hwy20に合流する。Hwy20はSkagit川沿いを下流から上流へ、そしてカスケード山脈を越えて走っていて、Rockportを過ぎたあたりから山間の道といった雰囲気になる。Rockportはカーキャンプができるリクレーション用公園になっている。この地点の川幅は広く流れも速いので、岸辺から釣りできる雰囲気ではない。
 RockportからSkagit川に沿って走るHwy20を上流のMarblemountまでドライブする。道路右手にはSkagit川、左手には畑だろうか牧場だろうか所々に農家のような家が点在している。何故かどの家も小綺麗だ。Hwy20は観光街道(scenery road)としてワシントン州の上位にランキングしていることが納得できる。4月下旬であるが、川沿いの草花は新緑で明るくキラキラしている。気温も温かい。春ウラウラな感じだ。今日は祭日とあって、この田舎道は家族連れの車が多く賑やかだ。Marblemountの人口は200人ほどで、小綺麗なレストランやショップがある。この先は山越えになり、しばらくGSや民家はない。川沿いの樹木の中に、開花したばかりの桜の花が点在して見える。花びらの深いピンクが緑の木々の中のアクセントとなって美しい。天候も気温も、そして景観も初春らしい雰囲気が満ちていてドライブが楽しい。
 13:00 Uターンして、進路をAnacortesに向ける。ここから1.5時間ほどの距離だ。時間は少し早いが少し疲れが出てきたようで眠い。Anacortesは初めての町で、明日は早朝出発だ。大事を取ろう。チューリップ祭りで有名な町Sedro-Woolleyまで来た。道路左手には畑が広がっているが、開花には1−2週間早いようで花は見えないが、対向車が引っ切りなしに通り過ぎて行く。祭日で、春の陽気。条件が揃っている。道路は混み合っている。
 この辺りに1つの記憶がある。釣りの帰り、シアトルに向けて車を走らせていたとき、Sedro-Woolleyの20kmほど手前で、手を挙げる一人の青年に会った。時刻は16:00頃だったろうか。少し手前の道路脇には1台の車が止まっていたので、察して載せてやった。「Sedro-Woolleyまで載せてくれ」、「ガス欠で、車を置いて歩いていた」という。アメリカでは道路脇に車が止まっている光景とよく見かけることがある。「オレは日本人で、ここに釣りに来た」、「Skagitは本当に美しくてすばらしい川だ」と言った。そして、「ここに住んでいる君が羨ましいよ」と付け加えた。彼は釣りに興味がないようで「ふーん」という反応だった。ヒッチハイカーを車に載せたのは、これが初めての経験だった。




Skagit川の流れ(Milepostで)



 I-5の乗り口Burlingtonを過ぎると、交通量は激減し、風景は山間の道から牧歌的な光景に変わった。進行方向の青空は刷毛で描いたような白い雲が水平線あたりに薄らあり、風景も広く広がっていて海を感じさせる。14:30 Anacortesの町に到着した。時間的に少し早かったが、予約していたモーテルにチェックインする。モーテル周辺には結構な数の桜の木があった。天気は春の陽気で、濃い赤紫の花が目につく。シャワーを浴びて少し休んでから、フェリー乗り場を下見しに行った。ここからカナダ・ビクトリア行きのフェリーが出ているのだ。幾つかの小島を縫って進み、途中の海上で国境越えになる。だからこの港で出国手続きが必要になる。フェリー乗り場周辺にはたくさんの車が駐車してある。建物側にフェンスで囲まれた駐車場が乗船用車の場所だ。数十台の車が複数の列を作って並んでいる。
 一般駐車場でしばらく休んでいると、一隻のフェリーが着岸するのが見えた。そして、しばらくするとたくさんの車や乗客、自転車やバイクがフェリーから「ドッー」と出てきた。迎えの車に乗る人や自転車を押す人などで一瞬混雑して「サァー」と去って行った。同時に、乗船を待っていたフェンス内の車がゾロゾロ動き出して30分ほどで駐車場は空っぽになった。  
  フェリー乗り場と所要時間を確認できたが、夕方までにまだ時間があるので、町の周辺をドライブして、フェリー乗り場方向と反対側にある「Cap Sante Park」へ行ってみた。ちょっとした高台になっていて、町の東側の港の様子がよく分かる場所だ。駐車場に車が10台ほどあって、ほぼ満車状態だ。東側から街の一角が一望できる。





【2日目】




7:00 フェリー乗り場に到着。空はドンヨリしていて、小雨が降っている。乗船を待つ車の列の最後尾に付けて、車内で乗船を待つ。しばらくすると、犬を連れた係員が車をチェックしていった。犬を車の周囲に誘導し、匂いでチェックしているようだ。別の係員が乗船券を配り始めた。必要事項を記入し、これを乗船時にボックスにいる係員に渡し、同時に乗船料金を支払った流れだったと記憶している。料金は$40で、日本で事前にネットで購入していた。
 乗船すると、フェリーはかなりの年代ものだとわかった。乗客たちは田舎の団体ぽい感じだ。無論WiFiは無かった。船内でコーヒーを買い、昨日買っておいたリンゴで朝食を取る。航路の海面は穏やかで、船は大小の島々を縫って進んでいく。波の揺れがほとんどない。快適だ。航路の所々に浅瀬や水面から突き出た岩礁があり、これらを避けて進んでいるようだ。天気が良い時の風景を想像すると「ワシントン州の宝石」と言われるのが分かる。途中、San Juan Islandに寄港した。港周辺には小綺麗な建物が見える。リゾートか観光地といった雰囲気だ。この島の周辺の小島にも、木々に囲まれた豪華な別荘やボートが立ち並んでいる。近くの海岸にプライベートなボート乗り場も見える。大金持ちのものだろう。彼らは自家用ボートやジェットでここにやってくるのだろう。。








11:00 バンクーバ島のシドニーに到着。車で上陸し、そのまま進むとゲートがあり入国検査だ。簡単な質問があっただけ、と思う。係り員は税国より真面目そうな印象。アメリカ経由なので「eTA」は不要だ。17号線を南下してビクトリアに向かう。Kmの道路標識が安心感を生む。宿は17の終端にあり、王立BC博物館のすぐ近くだ。宿にチェックインしてシャワーを浴びてから市内を散策。天候は生憎の小雨交じりのくもり空だ。観光地らしい街作りで、団体観光客も多い。





市街地を離れて、南岸の高台にあるBeacon Hill公園まで歩く。公園内は池や芝生地などが適度に整備されていて、散策にはちょうどよい距離だ。公園内の緩やかな坂の小道を登っていく。人の混雑はなく、数人とすれ違うだけだ。ゆったりした時間が流れている印象だ。30分ほど歩いて南端の海岸線まで来た。海岸線は海抜100mほど高い位置にあり崖になっている。海岸線に沿には散歩やランニングできるトレイルが走っていて、多くの人が夕暮れの時間をゆったり楽しんでいるようだ。眼前のファンデフカ海峡越しに、対岸のPort Angeles(米国)やその背後のオリンピック半島の山々が美しく薄らと浮かび上がっていた。

 夕方、車で近くのスーパマーケットに買い出しに行く。カナダのスーパーに初めて入ったがアメリカのスーパーと陳列や品揃えに大きな違いはないようだ。が、強いて言えば、アメリカのように大量の商品で溢れてるというより、質や快適性をベースにした品揃えといった印象だ。値段は少し高めか。

   
【3日目】
 今日は天気が良さそうだ。まず、博物館に行く。ビクトリアの歴史が分かる設定になっているが、カナダの歴史は浅いので、結局数百年遡ると原住民の文化になってしまので、歴史の浅さを再認識してしまうだけであるが、トーテンポールや漁具などが豊富に多数展示してあった。すべて見終わるには半日は必要だろう。その後、地下の映画館に行ってみた。iMax映画が上映中だ。iMaxはカナダで開発された立体映像音響技術で一度体験してみたかったのだ。入り口で軽いメガネが渡された。上映は、カナダの自然を映像化されたもので、森の中にいるクロクマやオオワシ、シロクマなどが大迫力で観られる。立体的迫力を求めるなら、一見の価値は十分にある。
 次に、ビクトリア湾を案内する小型の観光用ボートを見かけた。その形が面白いので乗ってみた。5−6名乗れそうだが、乗客は私だけだ。ボートは木製の大きなビア樽を半分に切ったような形で、とても波を切って進めそうに見えないが思えないが、低速で安定して進む。船長は街の歴史から、歴史的建物や今開発中の建物など、熱心に30分ほど案内してくれた。海上から見るビクトリア市街は美しく、湾北側にはたくさんの真新しい邸宅らしき建物が並んでいた。建設中や開発中の建物や施設が目につき、街はまだまだ経済発展中という印象だ。









 14:00 フェリー(Clipper)で対岸のPort Angelesに向かう。チケットは日本で予約済で、料金は$65。フェリーの出国・入国審査の流れについてはもう慣れた。リラックスして車の列に並ぶ。その後、順調に進み、シアトル・タコマ空港には到着したのは20:00だった。日本に向けた出発は明日の1:30だ。