2018/09/07

平成30年北海道胆振東部地震&ブラックアウト

9/6 03:07 最大震度7の地震発生(震源:北海道胆振地方中東部、震度6.7、深さ37Km)  
大規模な地滑り発生、全道停電



 地震発生(3:07)後、発電機を保護するために*苫東厚真火力(3台、1号機35, 2号機60, 4号機70万kWの計165万kW、3号機は2005.10廃止)が解列・停止。この時、需要は310万kWあり、苫東厚真火力(3台)の発電量は総需要のおおよそ半分を占めていた。その結果、道内の電力需給バランスは大きく崩れ(総発電量<需要)、周波数が大きく低下(許容変動±0.3Hz)。そのため他の火力発電所は保護リレーが動き、次々に系統から解列。地震発生18分後、全道規模の停電に至る(ブラックアウト、Blackout、295万戸)。この間、一部負荷(道北と道東)の遮断が自動で行われたが、需給バランスを維持することができなかった模様。なお、泊原発(207万kW)の3台は定期点検中。

*地震直後、苫東厚真火力の2台(2, 4号機、60+70万kW)が地震の揺れで緊急停止。その後、周波数は49Hzになり、需給バランスを維持するために、UFRが動作して発電量の不足分130万kW相当の負荷遮断が自動的に行われ、北本連携からの供給も試みられた模様。この間(17分間)は需給バランスが維持されていて、停電は部分的であった模様。しかし、17分後に何らかの原因で1号機(35万kW)が停止し、北本連携も停止。需給バランスは維持できず、周波数は47.5Hz以下になり、知内、伊達、奈井江の発電所も解列し、全道が停電(ブラックアウト)に至る。この間のすべての事象、需給関係、発電設備、送電設備などの状態を詳細に検討する必要がある。なお、北電は最大129万kW分の発電所停止は想定して検討していた、という。

発電設備
 水力発電所(30万kW)から電力を供給して、苫東厚真の火力発電機の再起動を試みるも、1&2号機(35万kW&60万kW)ボイラー損傷(蒸気漏れ)、4号機(70万kW)タービン付近で出火が判明(なお、コンパウンドサイクルの3号機は2005年に廃止)。また、本州からの融通電力60万kW(北本連携)は、停電により北海道側の交直変換所(自励式、函館変換所・電源開発)が使用出来ず。そこで、砂川発電所(25万kW)、奈井江発電所(35万kW)、伊達発電所(70万kW)、知内発電所(70万kW)などを再起動し、北本連携60万kWを含め、290万kWの供給力確保を目指して復旧中。なお、現在増設中の北本連携の変換所30万kWは自励式(国内初の自励式・北電、2019完予定)。

9/7 312万kW確保見通し。なお、地震前日9/5のピーク需要は380万kW。
9/8 360万kW確保見通し(停電99.3%解消)
9/11 復旧見通し(1号機9月末以降、2号機10月中旬以降、4号機11月以降)

送電設備
南早来1号線(275kV)電線断線あり。
岩知志線(66kV)鉄塔2基が倒壊。

配電設備
電柱の折損、配電線断線、変圧器傾斜など多数。

北見市内9/6 23:20に停電解消。